公務員制度 −公務員の働き方、労働条件など

「自律的労使関係制度改革素案等」に対する意見
2011年1月14日
全労働省労働組合

1 制度の目的等

 自律的労使関係制度の目的に関わって、政府幹部らから「国家公務員の人件費削減の手段」と位置付ける発言が繰り返されているが、働く者の基本的人権である労働基本権(協約締結権)の趣旨にてらして不適切である。

 本来、労働基本権は、勤務条件の設定等に労使が参画することを通じて、深刻な過重労働をはじめとする職場の諸問題を適切に解決していくために付与されるべきであり、制度改革の目的をめぐるダブルスタンダードを解消し、本来の目的を労使をはじめ国民全体が共有すべき。こうした同床異夢の状態は、新制度の創設に向けた建設的な議論を阻害してしまう。

 

(a) 制度の概要

 国家公務員の勤務条件の設定にあたっては、その公正さを確実に担保するかという観点が重要である。従って、「国家公務員の勤務条件」が「政争の具」とされるような状況を生じさせない仕組み作りが必要となる。

 このような観点から、情勢適応原則の名宛人は、法制上、内閣及び国会を含めるべき。

また、勤務条件の決定原則の際の考慮要素の一つとして、民間給与を位置付ける場合、当該民間給与は、職務内容にてらして「同種・同等の労働者」の給与と比較すべき。

 加えて、合意形成の過程で公正・中立で専門性の高い第三者機関(特に、内閣からの独立性は不可欠)の適切な関与を認めるべき。その際の第三者機関は、労使当事者の参画が保障され、その裁定が確実に実施される、適切・公平・迅速な調停及び仲裁手続きを担うものとすべき。

 

(b) 組織の整備

 新たな使用者機関については、予算措置等を始めとした必要な措置を講じる権限を有したものでなければならず、その立場から予算策定・執行のプロセスの再設計を含めた検討を進めるべき。

 交渉の相手方が必要な権限を有していなければ、協約締結権はもとより、交渉権でさえ画餅となる(手当の不払いを認めながら、不払いのままとなるなど)。同様に、使用者権限の委任についても同様の観点から、実効ある仕組みを構築すべきである。

 

(c) 便益と費用

 国家公務員の多くが使命感を持ち、献身的に努力をしているが、改革素案では、「職員の意識改革」が便益の一つと位置付けられている。現状をどう分析しているのか、立法事実として明確にすべき。また、労働協約締結権付与を通じて、何がどう解決するのか、具体的に明らかにすべきである。

 また、「一層効率的で質の高い行政サービスの提供」は、不断に努力すべき課題であり、当然のことであるが、勤務条件に関わる協約締結権を付与することで、行政運営全般の効率が飛躍的にアップするかのような記述は、誤解を与えるのではないか。そのような便益を確保しようとするなら、労使交渉の範囲を行政運営全般に広げることが必要であり、そうであるなら、労使が一層の責任感を持って向き合うことができる。

 

(d) 争議権の付与

 「国家公務員の労働基本権(争議権)に関する懇談会報告」は、争議権の付与を「一つの選択肢」となり得ると積極的に位置付けているとともに、多くの論点について更なる検討の必要性を指摘している。従って、今後の検討の各段階であらためて労使を始め幅広く意見を聴取しながら、合意形成を図る丁寧な対応を図るべきである。

以上

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