雇用対策・雇用法制 −労働者派遣、職業紹介、若年者・中高年雇用対策など

雇用保険部会報告に関する見解


2016年12月
全労働省労働組合 中央執行委員会

労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会は12月8日、部会報告をとりまとめた。部会報告は、特定受給資格者の所定給付日数について、被保険者期間1年以上5年未満である、30歳以上35年未満の受給資格者を30日分拡充して120日分に、35歳以上45歳未満の受給資格者を60日分拡充して150日分とするよう求めている。そもそも、部会の検討では、「雇用情勢の着実な改善」を前提としているが、有効求人倍率は高水準で推移しているものの、求人職種には著しい偏りがあるとともに、非正規・低賃金求人が多数を占めており、再就職の厳しさは実態として改善されていない。そうした中、特定受給資格者、特定理由離職者及び就職困難者以外の受給資格者の所定給付日数は、被保険者期間10年未満が90日分など、著しく不十分な日数に据え置かれ、離職理由が自己都合の場合には、原則的に3ヵ月間の給付制限期間が設けられている。そのため、初回受給者の約6割が所定給付日数が90日分、約半数が給付制限を受けている。このように脆弱な給付水準であるため、完全失業者数に対する雇用保険受給資格者数は2割程度にとどまっている。この点で部会報告は、「特定受給資格者以外の給付(所定給付日数、給付制限)についても見直すべきである旨の意見があった」としており、それらの改善を急ぐべきであったが、不十分な改善にとどまっている。

 また、部会報告では、「急激な雇用情勢の悪化や震災等の事態」に対して、引き続き対応することが必要であるとして、給付延長の措置を求めている。具体的には、「雇用情勢が厳しい地域の求職者の再就職を支援するため、特定受給資格者について60日の延長」を求めている。しかしながら、リーマンショックの際においても、雇用情勢が全国的に悪化した場合にすべての受給資格者の給付日数を90日延長する「全国延長給付」は発動されなかった。これは、所定給付日数があまりに脆弱であるため、被保険者に対する受給資格者の割合である要件(連続する4月間について基本受給率がそれぞれ4%を超えること等)を満たさなかったことが原因であり、所定給付日数を改善することが必要であるとともに、現行の給付水準であれば、全国延長給付の発動要件こそ見直すべきである。しかし、部会報告では、「急激な雇用情勢の悪化」を想定しながらも、全国延長給付にはまったく言及していない。

 部会報告では、雇用保険料率について、3年間に限定して2/1000引き下げるよう求めている。現在の保険料率は、本則が12/1000とされ、弾力条項の発動によって8/1000にまで引き下げられているが、これを6/1000にまで引き下げるとするものである。さらに、国庫負担についても、3年間に限定して本来負担すべき額の10%相当額とすることを「やむを得ない」としている。たとえば一般求職者給付の場合、国庫は費用の1/4を負担することとされているが、現在はその55%で運用されており、それをさらに10%にまで引き下げるものであり、国は費用のわずか2.5%しか負担しないとするものである。しかしながら、現在の雇用保険制度の給付水準はあまりに脆弱で、「労働者の生活の安定」や「求職活動を容易にする」とする制度の目的を果たしているとは言えない。そうした中で、給付水準の改善はごく一部に据え置き、保険料や国庫負担を引き下げることは、法律の目的にそぐわないと言わざるを得ない。

 

以  上