働き方・労働法制 −労働時間、賃金、安全衛生、労災補償など

2002年 1月
有期雇用契約(3年以内)及び裁量労働制(専門業務型)の
拡大を求める労働政策審議会答申の取り扱いにかかる意見

労働政策審議会は、1月23日、一年を超える有期雇用契約の対象労働者及び専門業務型裁量労働制の対象業務の拡大をはかる告示案要綱を厚生労働大臣にあてて答申し、これを踏まえた速やかな告示の改正を求めた。

しかしながらその内容は、労働基準行政に従事する多くの組合員にとって、この間の労働政策審議会労働条件分科会の議論が「密室」で行われていたことなどからあまりに唐突であり、日常業務を通じて接する今日の労働者の実態にてらして、その必要性、妥当性に大きな疑問を抱かざるを得ない。

従って、下記の理由から告示案要綱に基づく告示の改正を行うべきでない。

1 労基法第14条第1号及び第2号(有期雇用契約)関係

有期雇用契約は、使用者にとって、(1)判例上確立した解雇権濫用法理、不利益変更の法理等を免れることができること、(2)期間の定めのない労働者に比べて低い賃金水準を設定し人件費を大幅に抑制することができること、(3)契約更新の自由を持つことで「もの言わぬ労働者」として従属させることができること、(4)急増している労働者派遣業や業務請負業では、派遣・請負期間に応じて労働者を拘束することができることなどの大きな「メリット」を持っており、その拡大が及ぼす労働者の権利侵害は甚大であると考える。

加えて、新たな対象労働者として掲げられた「農林水産業若しくは鉱工業の科学技術若しくは機械、電気、土木若しくは建築に関する科学技術に関する専門的応用能力を必要とする事項について計画、設計、分析、試験若しくは評価の業務に従事する者」「情報処理システムの分析又は設計の業務に従事する者」「衣服、室内装飾、工業製品、広告等のデザインの考案の業務に従事する者」「事業運営において情報処理システムを活用するための問題点の把握又はその活用のための方法に関する考案若しくは助言の業務に従事する者」は、その文言の抽象性からきわめて広く運用されるおそれがある。

また、新たな対象労働者を画するための要件とされた「一定の年収575万円以上」という基準は、「専門的知識等であって高度のもの」か否かを判断する基準として合理性を認め難く不適当である。

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2 労働基準法施行規則第24条の2の2第2項第6号(裁量労働制)関係

裁量労働制は、時間外労働に対して実態に応じた賃金を支払う義務を免除する制度であり、これを免れた使用者は労働時間を短縮する意欲を失ってしまい、いわゆるサービス残業(ただ働き)の「合法化」「固定化」という事態を招きかねない。また、成果主義賃金や有期雇用契約とセットで運用することで、労働者を一層の長時間労働あるいは過密労働へと駆り立てていくことにつながり、その拡大は、過労死、過労自殺を生み出す温床を広げることになりかねない。加えて、新たな対象業務として盛り込まれた「事業運営において情報処理システムを活用するための問題点の把握又はそれを活用するための方法に関する考案若しくは助言の業務」「建築物内における照明機器、家具等の配置に関する考案、表現又は助言の業務」「有期証券市場における相場等の変動の見通し又は有価証券の投資価値の評価の業務」等は、その文言の抽象性からきわめて広く運用されるおそれがある。

加えて、新たな対象業務として盛り込まれた「事業運営において情報処理システムを活用するための問題点の把握又はそれを活用するための方法に関する考案若しくは助言の業務」「建築物内における照明機器、家具等の配置に関する考案、表現又は助言の業務」「有期証券市場における相場等の変動の見通し又は有価証券の投資価値の評価の業務」等は、その文言の抽象性からきわめて広く運用されるおそれがある。

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