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技官レポート18

ストレスチェック制度 実施編/「一次予防」の目的徹底を/面接指導への不安に対処

 

 ストレスチェックを実施するのは、衛生委員会(安全衛生委員会)の調査審議を経て決められた者であり、主には事業場で選任している産業医や社内の保健師などが考えられる。外部機関に委託することもできる。

 

情報管理はしっかりと

 労働者による記入が終わると、実施者はその結果に基づき、当該労働者が医師による面接指導を受ける必要があるか否かを確認、判定する。

 その後、実施者から結果が通知される。ここで注意したいのは、通知は直接本人に対し行わなければならないことだ。高いストレスが認められ、医師による面接指導の対象者となった労働者にはその旨が通知される。その場合、労働者は事業主に対し、面接指導の実施を申し出ることができるという流れだ。

 ストレスチェック結果は機微な情報であり、実施から結果の通知、さらには記録の保存に至るまで、個人情報が適切に管理される体制を構築しなければならない。個人の情報は、第三者に見られることのないよう、システムに保管する場合はパスワードの管理、キャビネット(書類の収納ボックス)に保管する場合は鍵の管理まで厳重に行うこと。

 この制度を効果的に運用できるかどうかは、事業主と労働者の信頼関係にかかっているのだ。

 そして、いよいよ面接指導となる。

 

不利益扱いは絶対ダメ

 労働者から面接指導の申し出があった場合、事業主は概ね1カ月以内に医師の面接指導を行わなければならない。担当する医師は、当該労働者の勤務の状況や、抑うつ症状などの有無、生活習慣・疾病がどうかといった点を確認する。その上で、労働者に対してストレス対処技術を指導したり、必要に応じて専門機関の受診を勧めたりすることになる。

 高ストレス状態で面接指導が必要と通知された労働者はどういう行動をとるだろうか。「会社に自分のストレス状態を知られたくない」「人事部署や上司に知られると不利益を被るのでは」と考え、医師の面接指導を受けたくても申出をしないことが考えられる。

 メンタルヘルス不調に対する職場の理解が進んでいるとはいえない状況があるのも事実。最近では、さすがに精神論(原因を個人の精神的な弱さとする)を堂々と振りかざす人は見かけなくはなったが、そうした捉え方は根強く残っていると思う。

 メンタルヘルスの不調、あるいは予備軍とみなされてしまう状況では、労働者が安心して申し出られないのは当然だろう。

 

症状回復例は多い

 そこで重視したいのは、制度本来の目的である。ストレスチェックは、労働者自身による気付き、対処の支援、職場環境の改善を通じて働きやすい職場づくりを進め、メンタルヘルス不調となることを未然に防ぐ「一次予防」が主目的なのだ。このことを関係者に徹底し、正しい共通認識をつくること。そのための職場体制づくり(職場の雰囲気も含めた)が必要なのだ。

 実際に労働者が医師の面談を受けて、労働時間の短縮や職場環境の改善を進め、症状が回復した事例はたくさんあるのだから。

(城田正義)

(「連合通信・隔日版」9月29日号から転載)

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