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技官レポート12

生産の国内回帰/設備再稼働前にチェックを/休止していた製造ラインなど

 円安の長期化や海外での人件費上昇などを受けて、海外から生産拠点を国内に戻す動きが広がっている。ある大手メーカーでは、今後2年間で国内生産の比重を1割以上も引き上げる方針だという。

 新たな雇用の創出や経済の活性化という点で、基本的には歓迎すべきことだと思う。しかし、私たち技官としては懸念がある。国内回帰する場合、既存工場の生産量を増やすパターンが多いと思われるが、当然、休止中の生産設備を再稼働させるケースも出てくるだろう。

 この再稼働時の労働災害防止対策をしっかり実施してもらいたいのだ。

「覆い」が外れていた

 製造業の労働災害では、「はさまれ・巻き込まれ」への対策が最も重要だ。その多くは工場などの生産設備で発生しており、手・指の切断や骨折といった、極めて重篤な災害となっている。昨年、製造業で災害が増加に転じた背景には、生産の国内回帰の動きもあるのではないかと思う。

 私は以前、ある工場の労働災害について調査をしたことがある。

 災害は、生産を休止していた製造ラインを再稼働した直後に発生していた。製品を搬送するためのベルトコンベアが組み込まれており、ベルトコンベアとプーリー(動力を伝える車輪のような回転体)の間に作業者の腕が巻き込まれてしまったのだ。ベルトコンベアの下に落ちた物を拾おうとしたものと思われる。現場を確認すると、すぐさま、あることに気付いた。

 動力を使った機械のベルトやプーリーの部分は、労働者がはさまれたり、巻き込まれたりする危険を防止するため、労働安全衛生規則第101条第1項の規定により「覆い(安全なカバー)」を設けなければならないことになっている。しかし、このケースでは覆いが付けられていなかった。

安全装置の点検も

 直ちに覆いを付けるよう指導しようとしたが、機械をよく見ると、覆いが取り外された形跡があった。さらに詳しく担当者に聞いてみると、以前に機械を休止した際のメンテナンスで覆いが取り外されたままになっていたことが分かった。

 私は、覆いの重要性を担当者に説明。生産設備を再稼働する際の注意点として、次の4点を指導した。

(1)再稼働前に生産設備全般の点検を実施すること

(2)安全装置がついている場合は、その機能が有効か点検すること

(3)危険な部分に覆い、カバー等がきちんと取り付けられているか、覆いやカバーなどが取り外されたままになっていないか、よく確認すること

(4)生産設備のリスクアセスメントを実施すること

 再稼働時は機械のトラブルがどうしても発生しやすくなる。あらかじめトラブル対処法(非定常作業のマニュアル)を決めて、作業者に伝えておくことも重要だろう。

 今後、生産の国内回帰が本格化する中で、是非これらの事項に注意していただきたい。

 

 

(城田正義)

(「連合通信・隔日版」2月14日号から転載)

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