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技官レポート10

トラック労働者の墜落事故/高所作業を減らそう/近年は発生件数が増加

 トラックなど陸上貨物運送事業(以下、陸運業)の労働災害は、1989年以降、年間1万3000件前後で推移してきたが、最近は大幅な増加傾向にある。2013年の休業4日以上の災害は1万4000件を超え、4年前の09年より1割強も増えているのだ。

 その特徴としては、「墜落・転落」が最も多い(28%)。うち7割を占めるのがトラックからの墜落災害で、荷積み、荷下ろしなどの荷役作業で発生している。

 特に、トラックの荷台で荷物にシートを掛けたり、ロープで固定する際の事故が目立つ。実際に扱われる荷物は、形も大きさもさまざまであり、常に同じ荷物を扱うとは限らない。安全管理は正直難しい面もある。大型の荷物だと、それ自体高さもあるので、万が一その上から墜落した場合は重傷災害につながる危険性が極めて高いのだ。

 

安全帯使用も重要

 厚生労働省は昨年、「陸上貨物運送事業における荷役作業の安全対策ガイドライン」を出している。

 墜落災害の防止対策としては、次のように定めている。

(1)不安定な荷の上ではできる限り移動しない

(2)荷物を固定する荷締め、ラッピング、ラベル貼りなどの作業は出来る限り地上で行う

(3)安全帯を取り付ける設備がある場合は安全帯を使用する

(4)危険のある作業では、墜落時保護用の保護帽を着用する

(5)荷や荷台の上で作業を行う場合は、荷台の端付近で背を外側に向けず、後ずさりはしない

 不要な高所作業は極力減らすことが必要だ。可能な場合は安全帯を使用すること。安全帯の適切な使用は建設労働者だけでなく陸運労働者にも求められる。こうした対策を取るだけでも災害はかなり減るのだ。

 

「作業床」設置を

 あるとき私は、工場の個別指導に出かけた。製品の出荷エリアで、ある光景が目に留まった。普通の大型のトラックが停車していて、荷積み作業の最中だった。トラックの横には荷役作業者のための作業床(プラットホーム)が設置されていた。これがあれば、荷台でシート掛けをする場合でも、墜落の危険性は格段に減少する。作業床には安全帯の取り付け設備も設けられており、労働者はしっかり安全帯を着けていた。

 事業場の担当者に話を聞くと、その会社ではトラック労働者の墜落災害が続いたことから、荷主ではあるが、再発防止対策を検討して作業床を設置したという説明だった。

 かなり前の話だが、ある墜落災害を調査したことがある。労働者が高さ1・5メートルほどの荷台から墜落し、頭部を強打して亡くなった災害である。荷下ろし作業の際に、荷台の上を後ずさりするような格好となり、その端から墜落したと推定された。

 建設業で昔から言われている「1メートルは一命取る(亡くす)」という言葉を以前に紹介したが、陸運業における荷役作業にも同様の危険があることをぜひ認識してほしい。

 

荷主側の協力が必要

 トラック労働者は、さまざまな荷主の場所で作業を行う。そうした場所に墜落災害防止のための設備を用意してもらうことは、極めて有用だと思う。私は災害防止対策に協力してくれている荷主に深く感謝するとともに、より多くの荷主に先進的な取り組み事例を説明するようにしている。

 陸運事業者による災害防止の取り組みとあわせ、荷主の側も作業の安全確保に協力することが求められる。

    

(城田正義)

 

(「連合通信・隔日版」11月20日号から転載)

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