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技官レポート6

熱中症予防対策/真夏になってからでは遅い/「暑さに体を慣らす」が大事

 

 今年も熱中症を心配する季節がやってきた。

 5月の下旬には、大分県日田市で、今年全国で初めてとなる猛暑日(気温35度以上)を記録した。「真夏」だけでなく、もう熱中症対策が必要な時期に入っているのである。

 最近、私は管内の安全パトロールに同行した。建設の現場で、ある掲示物に目が留まった。朝礼で実施するKY(危険予知)ボードには、「熱に順化していない(暑さに慣れていない)時期なので、特に熱中症に気を付けること。全員の健康チェックを実施」と書かれていた。暑さに慣れない時期は危険であり、特段の注意が必要ということだ。適切な熱中症予防対策が取られていることに感心して、現場を後にした。

 

「暑さ指数」測定が基本

 

 厚生労働省によると、2013年に熱中症の労働災害で亡くなった労働者は30人で、一昨年より9人多い。

 業種別では、製造業や建設業、警備業などが目立つ。死亡した30人の状況をみると、「暑さ指数」(WBGT値)の測定を行っていなかった(28人)、計画的な熱への順化期間が設定されていなかった(30人)、定期的な水分・塩分の摂取を行っていなかった(14人)、熱中症の発症に影響を与える恐れのある疾病を有していた(14人)などが原因とみられる。

 特に暑さ指数の測定・把握は、熱中症予防の基本だ。作業場所において基準値を超える恐れがある場合は、直射日光を遮る「ひさし」を設置したり、スポットクーラーや大型扇風機で冷房・通風を確保することが必要である。

 さらに、運動量の少ない作業への変更も必要だ。暑さ指数が「30」なら、「楽な座位」「軽い手作業」程度。熱に順化していない場合は、もっと軽い作業しかできないことになる。

 「熱への順化」は、暑い場所にいる時間を少しずつ増やしていって体を慣れさせること。ただ、天候が一定しない屋外作業の場合は計画的設定といっても難しく、当初は休憩時間を多めに取るなどして調整するやり方が現実的だろう。

 

心配な屋外警備業務

 

 以前と比べると、熱中症予防対策はだいぶん浸透してきたと思う。

 しかし、最近気になっていることがある。昨夏の東京出張の際に見たある光景である。中央省庁の玄関で庁舎警備に従事する民間警備会社の労働者の実態で、道路に面した直射日光と凄まじいアスファルトの照り返しの中、次々と来訪者のチェックを行っていた。

 私は庁舎に入る順番を待つ間、携行している熱中症測定器で付近の暑さ指数を測ったところ、なんと「47」もあった。とても警備業務を行えるような作業環境ではない。私の担当エリアならすぐに事業場を指導するところだが、その時は「熱中症は大丈夫ですか?」と声をかけるくらいしかできなかった。

 「まだまだ啓発が必要だ」と心を新たにした次第である。

(城田正義)

 

※用語解説・暑さ指数

 熱中症予防のために考案された指標。気温と湿度、日射など周辺の熱環境を総合した値。指数が「28」を超えると、熱中症患者が著しく増えることが確認されている。最近は、手ごろな値段で買える測定器が普及している。

(「連合通信」6月12日付から転載)

 

 

 

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