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ボイラー等の製造時検査の外部委託化

 

ボイラー、第一種圧力容器(以下、ボイラー等)の製造時検査を外部委託化する議論が進んでいる。

ボイラー等は、その構造上、内部に膨大なエネルギーを保有するため、ひとたび事故が起きると、死亡災害や大規模災害を引き起こすおそれがある。そのため、労働安全衛生法を始めとして、ボイラー及び圧力容器安全規則、ボイラー構造規格、圧力容器構造規格や膨大な関連通達等によって、詳細な安全基準が定められている。

そして、労働局の産業安全専門官や技官が、1機ごとに「検査」を実施し、厳格に合否を判定しているのが現状。

検査に求められる知識は、機械工学、材料工学、強度計算の実際までたいへん幅広い。また、ボイラー等の中に入り、溶接線(ビート線)の適否の確認や試験片の合否判定等を行う作業は、多くの経験を要する。

 

外部委託化の議論は、厚生労働省の事業仕分け(いわゆる自己仕分け)で判定されたものだが、仕分け人の中に、ボイラー等の構造やその実務に精通した者はいない。

 それどころか、安全衛生分野の一連の仕分けでは、「安全対策は必要だが、製造企業の自己責任という考え方もあるのでは」「安全性にはいろいろ懸念もあるが、大企業の製品はすでに検査の必要のないものも増えている」「死亡災害が3割も減ったのだから、職員も3割減らすべき」等の信じがたい発言が相次いだ(もちろん、的を射た指摘もないわけではない)。

 

こうした仕分けの議論の末、製造時検査を外部委託化するというのだが、この構図は6年前に世間を大きく揺るがした耐震強度偽装事件の構図とまったく同じだ。

 

実際、お得意先に「不合格」を出せる業者があるのだろうか。粗雑な検査が横行し、大事故に結び付くのではないかと、背筋が寒くなる思いだ。

また、労働行政に、製造時検査に関わる技術や経験がこれまでのように蓄積できないという問題点もある。

 

今後、労政審などの議論を経て省令改正の手続きに入るが、労働者・国民の安全を重視する立場から、再考してほしい。(S)

 

 

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