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百万円の奨励金は雇用を生み出すか

 

 新卒者雇用に関する新たな緊急対策が実施されている。

 スピード感があるし、大卒・高卒就職ジョブサポーターの配置など多くの有効な対策が盛り込まれているが、新たに措置された「百万円の奨励金」には違和感を感じる。

 

 まず、その金額がこれまでの雇用関連の奨励金、助成金に比べ、かけ離れて高い。サプライズ効果(雇用創出への刺激)を狙ったのかもしれないが、長期定着まで見据えた職業紹介の実務は、サプライズだけでは進まない。

 更に感じるのは、その効果の程である。

 大まかに言えば、新卒者枠(求人)で卒業後3年以内の既卒者を正規雇用する場合に支給されるわけだが、今日のように雇用の総量が増えない状況下では、その効果は限定的とならざるを得ない。1人の既卒者の就職が1人の新卒者の失業を作り出すことになっていないのか懸念は拭えない。

 また、1社1人という枠組みも、予算等を考慮すると仕方がないのかもしれないが、奨励金を活用し、複数人の既卒者を採用する場合、1人は本制度、もう1人は類似の制度(例えば、既卒者トライアル雇用奨励金(新規)は、有期雇用(原則3か月)で1人月10万円、正規雇用移行から3か月後に50万円支給)と別々の制度を適用せざるを得ず、どうかと思う。

 

 雇用政策の実効を上げていくためには、国の経済政策と一体的に進めることが肝要だ。政府の「新成長戦略」では、新たな雇用創出分野として、健康、環境、情報通信、農業、林業等を位置付けているのだから、当該分野の人材育成(同時に、労働条件向上が必要)こそが雇用対策の柱に据えられるべきではないか。

 また、雇用対策は労働力人口予測とも整合が必要だ。2年後には団塊世代の年金満額支給が始まり、労働市場は「世代交代」が加速する。新卒者、既卒者に向けた雇用対策も「奨励金」で無理なマッチングを図るより、公的職業訓練の充実させ、数年後を見越した専門家の育成にこそ力を入れていくべきであると思う。(Y)

 

 

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