メッセージ フロム ザ フロント

おかしな公務災害補償制度

 

知れば知るほど、おかしいと思う。常勤・非常勤職員を対象とした「国家公務員災害補償制度」のことである。

 

第1に、労災では当たり前の「現物給付」が受けられない。指定病院がなく、費用請求が原則。被災者は自費で療養を受けた後にその費用を請求することとなり、一時負担が生じる(正確には、認定後でなければ請求すらできない)。しかも、自由診療(1点12円などの基準がない)となるから、法外な費用が計上される可能性がある。

 

 第2に、公務上外の認定のほか、障害等級、給付基礎日額に至るまで全てを「使用者」(各府省)が行う。しかしながら、「使用者」は本来、安全配慮義務、健康確保義務を負うから、公正な第三者たり得ない。なお、一部の事案の認定に際して、人事院との事前協議(承認)が必要とされるが、訴訟に至ると、実質的に判断した人事院はなく、各府省が訟務を担当する。

 

 第3に、被災者は診断書を添付した「災害報告書」を提出する必要があり、事務的・経済的負担が大きい。労災では、請求書を提出するだけでよく、診断書料も給付の対象。

 

 第4に、決定があまりにも遅い、遅すぎる。職疾を除く、負傷だけを見ても請求から1年、2年経過しているケースが珍しくない(労災なら、おそらく99%が1か月以内に決定されているのではないか)。

 

 折しも、厚生労働省は、公務災害補償事務を本省から各労働局へ移管するという運用変更を行ったが、こうした問題点の解決には全く結び付いていない。

 また、人事院も公務災害補償制度の見直しを打ち出しているが(災害補償制度研究会報告書、平成19年5月)、同様に、前記の問題解決には興味がないらしい。

 もはや、件数も減少しているし、認定基準等も厚生労働省が作成したものを焼き直しているのだから、労災補償制度と統合してしまった方がよいのではないか。(H)

 

 

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