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常用型と呼ばれる派遣労働者

 労働政策審議会は12月28日、労働者派遣法の改正に向けた答申を行った。

 この間の議論は多岐にわたったが、焦点の一つは、製造業務派遣の在り方であったと思う。この点、答申には、「問題が多く発生した製造業務への労働者派遣については、これを禁止することが適当」とする一方、「ただし、雇用の安定性が比較的高い常用雇用の労働者派遣については、禁止の例外とすることが適当」とある。

 おそらく、仮に派遣先の都合等で「労働者派遣契約」が解除されても、常用型の派遣労働者なら、離職することはないという発想なのだろう。

 しかし、労働行政の第一線で多くの派遣労働者の実情を見てきた私たちから見ると、常用型の派遣労働者のどこを見たら「雇用の安定性が高い」と言えるのか、まったく理解できない。

 データを示そう。

 厚生労働省自身がとりまとめた「労働者派遣契約の中途解除に係る対象労働者の雇用状況について」(平成21年5月21日発表)によると、労働者派遣契約が中途解除されたとき、常用型の派遣労働者であっても、実に87.2%が離職し、このうち87.9%が解雇されているのである(期間満了は8.6%、自己都合退職は3.5%にすぎない)。

 常用型と言っても、正に「名ばかり」で、派遣先の都合で派遣契約が解除された途端、多くの派遣労働者がいとも簡単に解雇され、泣き寝入りを強いられている(実際上、個々の派遣労働者が解雇の不当性・違法性を争うことは難しく、即日解雇の予告手当の支払いを求めるぐらいが精一杯)。

 労働者派遣は、派遣先が責任を負わず、手も汚さずに、労働者を「使い捨て」できる仕組みと言える。この矛盾を解消するには、真に権限のある者(派遣先)が、相応しい責任を負う制度へ変えていく必要がある。

 その際、製造業務の定義は幅広く、それに従事する労働者の多くは、政令で定める「26業務」のように専門性が高く、交渉力のあり、労働者保護に問題のない労働者(これも建前にすぎないのだ・・・)と言えないことに十分留意すべきだし、また、短期の有期雇用を反復する雇用形態を「常用型」と言いくるめる身勝手な解釈も、誤解を生じさせるので止めた方がいい。

 「常用雇用の原則」のみならず、「直接雇用の原則」に立ち返った、労働者派遣法の改正を望みたい。(Z)

 

 

 

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