メッセージ フロム ザ フロント

全国延長給付

 「全国延長給付をやらないのか」

ハローワークの窓口で詰め寄られても、一職員の判断で制度を変えることなどできるはずもない。ただ、その思いには共感する部分もある。

雇用保険法27条1項本文

厚生労働大臣は、失業の状況が全国的に著しく悪化し、政令で定める基準に該当するに至った場合において、受給資格者の就職状況からみて必要があると認めるときは、その指定する期間に限り、第三項の規定による期間内の失業している日について、所定給付日数を超えて受給資格者に基本手当を支給する措置を決定することができる。

つまり、雇用情勢が全国的に悪化し、求人減少等によって再就職が極めて困難な状況下では、失業者の求職活動を支援するため、全受給資格者を対象として失業給付の給付日数を延長することができる、これが全国延長給付である。

この措置を講じる判断基準は、現在、1)基本手当の受給率が4%を超えること、2)初回受給率が低下傾向にないことと定められているが(政令6条)、このうち、1)の基本手当の受給率というのは、各月の受給資格者の数を、当該受給資格者の数に当該月の被保険者数を加えた数で除して得た率とされている。大雑把な言い方だが、労働者の中で失業者の割合を見ているのだろう。

ところが、実際の「受給資格者の数」(分子)は、相次ぐ雇用保険制度の見直しで失業給付の所定給付日数は減り続けているから(※)、大きくならず、従って、「受給率」も大きな値として算出されない。失業者がいくら増えても、受給資格者は増えない仕組みなのだ。

実際、失業給付を受けられない失業者の割合と調べてみると、先進国の中で日本が最も高く77%。次いで、アメリカ:57%、カナダ:57%、イギリス:40%、フランス:18%、ドイツ:13%。

こう見てくると、全国延長給付の判断基準そのものがおかしいと言えないか。

この間、政府も手を拱いていたわけではなく、「特定受給資格者」と「特定理由資格者」のうち、一定の要件を満たす求職者には個別延長給付(原則60日まで延長)の措置が講じられている。

しかし、窓口で感じる、かつてない雇用失業情勢を厳しさにてらすなら、適用の拡大、所定給付日数の引き上げ、基本手当日額の引き上げ、給付制限の撤廃・緩和等、雇用保険制度そのものを抜本的に強化していく必要があると強く感じる。(I)

(※)所定給付日数は、2000年度では、300日が最も多く37.0%。次いで90日(25.4%)、210日(13.9%)、180日(12.7%)、210日(11.0%)の順であったが、2008年度では、90日が最も多く57.2%。次いで150日(9.3%)、120日(9.1%)、180日(8.9%)の順。

 

 

 

この記事のトップへ