メッセージ フロム ザ フロント

2009年 6月
職業相談のいま(その2)

高齢者が仕事を求めてハローワークへ訪れることが多くなったと感じる。中には70歳代の方の姿も見られる。

高齢者が仕事を探していると聞けば、年金を得ながら「生きがい・働きがい」として働く姿をイメージするかもしれない。しかし、厳しい雇用情勢の中、大混雑のハローワークで長い待ち時間に耐えながら窓口を訪れる高齢者の状況はとても切実だ。仕事をしなければ生活できない、つまり貧困状態にある方が多い。しかも、話を聞けばこれまで何十年も真面目に働いてきた方ばかり。

なぜ、このような事態が広がっているのだろうか。湯浅誠氏が指摘する「五重の排除」が当てはまると感じる(※)。

一方、高齢者を受け入れる事業所は極めて少ない。高年齢者雇用に比較的理解がある事業所でも安全面への不安から「70歳代は難しい」と言う。求人の年齢制限が「不問」であっても、70歳代からの応募は想定しておらず、一顧だにされないのが実情。「わが社を舐めてるのか」と紹介担当者へ怒りをあらわにする事業所もある。

現状の高年齢者雇用対策は「高齢者が意欲と能力のある限り、年齢にかかわりなく働ける社会」をめざしており、ハローワークでも企業に対する助成金・奨励金、高齢者に対する相談・支援等の施策を積極的に進めているが、当面、60歳代(70歳まで)の雇用確保が重点。

70歳代を視野に入れた、高齢者に相応しい雇用と生活のあり方論議と新たな公的支援が必要と感じる。(Y)

 

※五重の排除と高齢者

(1)教育課程からの排除:義務教育のみ履修された方が多い。1939年生まれ(現在70歳)の高校進学率は50.9%。

(2)企業福祉からの排除:過去の勤務先が厚生年金未加入のケースが多い。過去に雇用関係以外で働いてきた方も多い。

(3)家庭福祉からの排除:面倒を見てくれる子供がいない、子供が失業して頼れない等。

(4)公的福祉からの排除:無年金あるいは国民年金を受給できてもあまりに低額で生活できない。

(5)自分自身からの排除:現状を招いた責任は自分自身にあり、身体が動かなくなるまで働き続けなければならないとの意識。

 

 

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