メッセージ フロム ザ フロント

2009年 4月
職業相談のいま(その1)

昨秋の米国発の経済危機以降、安定所(ハローワーク)の窓口を利用される方が急増している。12月頃から製造業で非正規労働者の解雇、雇い止めが目立って多くなり、4月に入り、事務系の派遣労働者や正規労働者の離職も増えている。
  私の勤める安定所では、有効求職者数が前年同月比で約3割増え、逆に有効求人数が約3割減った。いま、求人倍率は0.5%を切ろうとしている。

相談者をご案内しての第一声は「お待たせして申し訳ありません」。
朝8時半の開庁前から、何十人もの方々が列を作って待っていることから、開庁と同時に10人、20人と待ち人数が増え、30分と経たないうちに50人を超えてしまう。昼間は、この数のまま推移し、17時頃から徐々に減少するが、昨日はこの時点で80人を超える方々が相談を待っていた。一人あたりの待ち時間も長くなっており、待合いスペースに座りきれず、所内の廊下などあらゆるスペースで立ったままの方も少なくない。私が、12時40分に相談を開始した方は、9時20分に受付した方だった。

このような事態が生じているのは、単に離職者が増えているからだけではない。相談内容自体がたいへん複雑で丁寧な対応が求められるケースが多いのある。例えば、解雇や雇い止めなど、いわゆる「非自発的離職」を経験された方は、自らが失業したことを直ちに受容できないことも少なくない。その原因を、過剰に自己責任として捉える傾向も多く、精神的な負担から求職活動が難しい場合も多い。こうした場合は、労働市場の状況等を丁寧に説明し、落ち着いて自己分析を行っていただき、就職という新たな目標に自発的に向き合ってもらう専門的な援助が必要となる。また最近は、離職と同時に住居を失ったり、所持金がわずかであったり、求職活動を落ち着いて行える状態にないため、多様な制度を活用した支援を必要とする方も少なくない。

相談者からある求人へ応募したいと申し出を受けた。受付をして2日目の求人だが、前日までの応募状況を確認すると、すでに100人近くが書類選考中。
そのことを告げると「今回の応募は見合わせます」「では、他の求人も見てみましょう」「いや、いいです。自分で検索してきます」「こちらの窓口で一緒に探してみましょう」「いや、待ってる人に悪いから」「・・・」。

数時間にも及ぶ待ち時間は、職員への「無言の強い圧力」となっているが、相談者自身も、それを敏感に感じ取っているのだ。申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
相談者一人ひとりに適合する職業へと速やかに導くことが私たちの使命だが、その使命を果たすための十分な行政体制整備を切望している。(F)

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